水と美のライフスタイルマガジン
BE WATER

Contact

世界を知る 2016.03.01

温泉で医療保険を適用!?ヨーロッパ式温泉保養の先駆けドイツ・フランスは、日本の温泉文化とここが違う!

英語では一般的に温泉や温泉地を指す言葉としてスパ(Spa)を用いますが、「スパ」はもともとベルギーの温泉地の名称です。およそ700年前に、この地の温泉水によって病気が治ったことが評判になり、ヨーロッパの温泉の総称になったとされています。

また、漫画「テルマエ・ロマエ」を読んで古代ローマ時代にも温泉というカルチャーがあったことを、はじめて知った方も多いのではないでしょうか。イタリア以外にもヨーロッパには古代から栄えつづける温泉が多くあり、また国ごとにさまざまな温泉習慣も存在します。

今回はその中でも温泉保養の先駆けとして有名な、ドイツとフランスの温泉事情について探っていきます。同じ温泉でも日本とはかなり様子が異なるようですよ。

温泉を吸入して呼吸器を癒やす!?ドイツのウェルネス温泉

ドイツでは健康保養地のことを「クアオルト」と呼んでいます。クアには「治療する」「中長期滞在して保養する」といった2つの意味がありますが、多くは後者を指すことが多いようです。

クアミッテルハウスと呼ばれる多目的治療施設を中心に、クアハウス(レストラン)、クアパーク(公園)、遊歩道などが整備され、ホテルや商店が並び、食事やショッピングを楽しむことができる温泉街。これが、ドイツの典型的な温泉保養地の風景です。ドイツ国温泉協会によると、約170の温泉地があるそうです。今回は特徴的な2箇所をご紹介します。

日本の入浴法に近い「バーデンバーデン」

ドイツの温泉保養の先駆けとなった「バーデンバーデン」。そこで代表的な「フリードリッヒ浴場」では、タオルを持たずに裸のままで入浴します。この姿のままドーム型の大ホールにある乾燥サウナ、スチーム浴、温度や深さの異なるたくさんの浴槽を巡るのです。まるで日本の温泉テーマパークにも似たこのスタイルを、ドイツの人々もバッチリ堪能しているのです。

呼吸器官を癒やす「バードライヘンハル」

ヨーロッパアルプスに抱かれた山岳都市バードライヘンハルは、古くからの岩塩の産地であるため、泉質も食塩泉(ナトリウム塩化物泉)という特徴があります。

また、この地は温泉水と清浄な空気を利用した呼吸器系疾患治療の場としても知られています。濃縮フィルターを通しながら、食塩泉を上から下に滝状に落とし、空中に飛び散った水蒸気をゆっくり歩きながら吸入するという療法が行われています。

フランスの温泉には温泉医がいるってホント?

日本人の温泉のイメージは、ゆっくり湯につかることだと思いますが、フランスの温泉はそうではありません。実はフランスでは「飲泉」に力を入れているのです。なぜならフランスの温泉は医療目的、つまり「治療」としての側面が大きいからです。温泉の泉質と飲泉効果の関係性なども長年研究されており、科学的根拠に基づく論考も多数存在します。

フランスの温泉地には専門の温泉医がおり、症状から診断して患者ごとの処方箋を元に温泉療法を行います。飲泉をメインにその合間に自然の中を散歩などして運動します。フランスの温泉の定義は「地表に湧き出た時点で35度以上の水」なので、温泉プールのような場所が多いのも特徴です。日本の温泉では長湯するとのぼせてしまいますが、温度が低く、長時間入れることを活かした、ウォーキングなどの水中でのエクササイズも豊富。ちなみに裸は厳禁!水着を着て入ります。

運動を終えたら温泉を少量ずつ何度も飲み、マッサージを受けたり、デッキチェアでゆっくりまどろんだり……。長期滞在して心も体も健康を取り戻していくのです。日本の湯治をさらに治療として確立したのが、フランスの温泉カルチャーなのです。

温泉なのに医療保険が適用されるって本当!?

なぜ、長期滞在するケースが多いのかというと、フランスでは決められた基準に該当する場合は、毎年の温泉療養に医療保険を適用することができるからです。
その必要条件は、医師の診断書が示す温泉地に3週間滞在すること。療養対象疾患には関節リウマチや消化器疾患、呼吸器疾患、血管疾患など指定された12の疾患。すべての条件を満たすと温泉療法費の65%が保険で還付されます。
実際に治療を目的とした医療施設によっては、医師の診断書がないと入れないなんていうところも。それじゃあ、診断書がなければフランスで温泉に入れないの?なんて心配はご無用、診断書のない人も入れる施設ももちろん用意されています。

ナポレオン3世にも愛された温泉ヴィシー

そんなフランスで有名な温泉地といえば、水の都の女王ヴィシー(Vichy)。

ヴィシーは古代ローマ時代から栄えている温泉地。皇帝ナポレオン3世が温泉治療に訪れ、王侯貴族専用の湯治場を作るべく町の整備を行いました。現在でも温泉施設のほかに娯楽施設であるオペラ座、美術館、カジノ・競馬場などが建ち並んでいます。ちなみにナポレオン3世公園にはナポレオンが滞在していた別荘もあります。

ヴィシーの水文化を象徴するのは、スルス公園(Parc des Source)という源泉公園。その中のアル・デ・スルス(Hall des Sources)という場所には、蛇口がいくつも並んでおり、豊富な温泉水を口にすることができるのです。ヴィシーの温泉は主に塩味と酸味のあるミネラルを多く含んだ重炭酸塩泉ですが、種類によって名前がついており効能も違います。

Celestins・・・炭酸泉。体内に吸収されやすい細かい炭酸の泡で血行促進し温まってきます。胃腸に効くとされる。
Chomel・・・フッ素を含む炭酸泉で、病気に強い身体をつくるとされています。
Hopital・・・硫化水素を多く含む源泉。食道炎や胃腸の炎症を抑える効果があるそう。
Lucas・・・硫黄泉。慢性皮膚病に効果があるとされ、飲泉というよりは患部に塗ったりする。
Grande Gralle・・・フッ素が豊富刺激が強い。肝臓疾患に効果があります。

この中で「Celestins」はその美容効果から「レクラ・デュ・タンの源〜輝くような肌とうるおいをもたらす水」といわれています。

そのため、ミネラルウォーターVICHY CELESTINS(ヴィシーセレスタン)として使われたり、温泉水を利用したミントのお菓子や化粧水なども有名です。ヴィシーの3箇所の温泉施設では「Celestins」を利用したジェットバスや泥パック・温泉水マッサージなど、美容にまつわるメニューも豊富。ナポレオン3世も愛したヴィシーの温泉でキレイになっちゃう。ぜひとも体験してみたい温泉カルチャーです。日本では「飲水」として、重炭酸塩入りのヴィシーセレスタンがコチラから入手できるようです。

水と飲むだけで、飲泉の効果を体験できる!

日本とはかなり違うドイツ・フランスの温泉事情。特に飲泉の効果は日本ではあまり知られていませんが、泉質によってさまざまな効果があることがわかっていただけたと思います。なかなかフランスまで行くことはできませんが、まずはフランスのミネラルウォーターを飲む(飲泉)ことで温泉体験をしてみませんか。

参考文献:
フィリップ ランジュニュー=ヴィヤール 著『フランスの温泉リゾート』白水社
阿岸 祐幸・飯島 裕一 著『ヨーロッパの温泉保養地を歩く』岩波書店

この記事をみんなにシェアする♪


ranking 人気記事


keywords 注目キーワード


about BE WATERSについて

BE WATERは、“水のように美しく健やかに生きる”をテーマにした水と暮らしのWEBマガジンです。身近な飲料水に関する記事から話題のニュース、美容と健康、ライフスタイルまで多彩な情報を発信していきます。


ページトップ